クリスマスシーズンの今、ふと思い出す香りがあります。「フランキンセンス(乳香)」と「ミルラ(没薬)」です。ともに聖書に登場する精油で誕生したばかりのイエスに東方三賢者が捧げた贈り物です。それぞれの特徴をご紹介していきます。
フランキンセンス(乳香)の特徴

【産地】スーダン、エチオピア、ソマリア、イエメン、イラン、インド
フランキンセンスという名前は、「本物の薫香」を意味する古いフランス語に由来しています。木の樹脂から抽出されるため花や葉などから抽出される精油とは異なり、多少重めで一度嗅ぐと心の奥まで染み渡るような深みがある香りです。心に不安がある時には、揺れ動く気持ちをすっと落ち着かせてくれます。神や宗教と密接な香りで、古代エジプトやヨーロッパの寺院や教会で焚かれてきました。それが実感できる香りです。
私がアロマテラピーの学校で勉強をしていた時にオレンジの精油をブレンドしたところ、意外にもバランスがよくさわやかな香りになった記憶があります。柑橘系の精油と相性がいいようです。【静】と【動】の組み合わせのブレンドですね。
【香り】
リラックス効果が高いため呼吸も深くなり精神を安定させます。
- シャープ
- スパイシー
- 濃厚
- 乾いたお香のような香り
- 樹木を感じさせる温もりがある
ヨガや瞑想にも最適な香りということがわかりますね。
【作用】
浄化作用があり免疫力を高めます。
- 強壮作用
- 消毒作用
- 免疫強化作用
- 収斂作用
- 鎮静作用
- 創傷治療作用
- 消化促進作用
- 利尿作用
外傷や傷跡にも効果的です。
【体への働き】
肌のシワに有効です。女性にはうれしいですね。
- 呼吸器系のトラブル(息切れ、気管支炎、カタル等)
- 月経異常
- 尿路系炎症
- 消化器不良
- 老化肌
- 創傷
風邪やインフルエンザの治療にも利用できます。
【精神への働き】
心を落ち着かせ静めてくれます。
- 抗不安
- 緊張
- 抗うつ
- 悪夢
- ストレス
頭が混乱してパニックになった時にも効果がありそうです。
【注意】
なるべく妊娠時は避ける
◉ブレンドに向く精油◉
[柑橘系]
柑橘系は特におすすめです。
- オレンジ
- ベルガモット
- グレープフルーツ
[樹木系]
樹木系はしっくりくる組み合わせです。
- サンダルウッド
- パチュリ
[ハーブ系]
バジルとのブレンドは変化が楽しめますね。
- ラベンダー
- バジル
- ゼラニウム
ミルラ(乳香)の特徴

【産地】スーダン、エチオピア、ソマリア
ミルラは、フランキンセンスと同様に樹脂から抽出されます。古代エジプトでは、宗教儀式の他に殺菌作用が強いためミイラに利用してきました。香りはフランキンセンスよりさらに苦みが加わったような感じです。ミルラは落ち込んでいる時には避けた方がよい気がします。さらに深く沈んでいってしまうかもしれないからです。その反面、全くゼロの状態で無気力になった時には、そこから一歩踏み出せるよう力を貸してくれるでしょう。
眠気を誘う香りのため、眠る前に使用するのはおすすめです。アロマテラピーのトリートメントの実習では、この精油を使用してトリートメントを受けた人がぐっすり眠ってしまったほど鎮静効果があります。はっきり好き嫌いか分かれると思います。でも一度好きになると、やみつきになりそうな独特な香りです。私は初めて嗅いだ時から気に入ってしまいました。
【香り】
香りは強くて持続性があります。
- ビター+スパイシー
- 濃厚
- スモーキー
ミルラはフランキンセンスに似ていますが、もっと漢方に近い香りです。
【作用】
殺菌効果が高いことがわかります。
- 消炎作用
- 消毒作用
- 殺菌作用
- 殺真菌作用
- 去痰作用
- 健胃作用
- 駆風作用
- 収斂作用
- 通経作用
- 創傷治癒作用
胃を整えるため消化不良や食欲不振にも利用できそうです。
【体への働き】
口腔内の不調にも有効ですが、必ず安全性が高く良質な精油を利用して下さい。
- 口腔内の炎症(口内炎、歯槽膿漏、歯肉炎)
- 胃の不快
- 消化不良
- 呼吸器の不調
- 免疫低下
- 少量月経
- 白帯下
- 創傷
古代ギリシャの兵士たちはミルラを薬代わりに小瓶に入れて戦場に向かったそうです。
【精神への働き】
心が空っぽになるほど疲れた時に力を発揮してくれます。
- 無気力
- 無感動
- 混乱
- ヒステリック
- 恐怖
鎮静効果があるためヒステリックのような興奮した状態にも効果的です。
【注意】
妊娠中は使用不可
◉ブレンドに向く精油◉
[樹木系]
どの精油も森林浴のような香りのブレンドでリラックスできます。
- サンダルウッド
- ジュニパー
- パチュリ
- パイン
- フランキンセンス
[スパイス系]
ミルラとのハーモニーが楽しめるブレンドです。
- タイム
- クローブ
[ハーブ系]
ミント系の精油と相性がいいのは興味深いです。
- ラベンダー
- ゼラニウム
- ミント類
まとめ
- フランキンセンスは古いフランス語に由来「本物の薫香」を意味する。香りはシャープでスパイシー。呼吸を深くして気持ちを静め落ち着かせてくれる。年齢肌にもよい。柑橘系の精油とも相性がよい。
- ミルラはフランキンセンスと同様宗教と関係が深い精油。香りは苦みがありビターでスパイシー。古代エジプトではミイラ作りに利用されてきた。呼吸器を整える。無気力な状況では助けとなる香り。
フランキンセンスとミルラは、スターウォーズのヨーダのイメージで精油の賢人という感じがします。クリスマスにイエス誕生に思いをはせながら、この精油を使用してみるのもいいですね。よいクリスマスをお過ごし下さい。